漢方薬のなぜ?

◎漢方薬って何?民間薬とどうちがうの?

漢方薬は古代中国で生まれ、経験の積み重ねによって体系化されてきました。これが日本に伝来し、独自の発展を遂げて現代まで受け継がれ、約500年間日本の医療を支えてきています。
民間薬は古くから伝統的に使われてきたという点では漢方薬と同じですが、漢方薬は漢方医学の理論に基づいた処方構成がなされ、原則として2種類以上の生薬を配合し、全て製法・用法・用量が決まっています。
一方、民間薬は伝承的・家伝的な薬で、概して1種類の生薬からなり、用法・用量も詳細には決まっていません。

漢方薬 葛根湯・八味地黄丸・当帰芍薬散など
民間薬 ドクダミ・センブリ・カキの葉など
◎漢方薬にいくつも「効能・効果」があるのはなぜ?

漢方薬には、数種類の生薬が配合されています。その生薬はそれぞれに薬効があり、さらに生薬同士の組み合わせによって効果を強めたり、副作用を減らしたりします。
ですから漢方薬の1つの処方には、たくさんの効能・効果が期待できるのです。
また、耳鳴り・肝臓病・糖尿病・ダイエットなどは効能・効果として書かれていない場合が多いのですが、「証」に基づいて漢方薬を使い分けると、これらの症状や病気にも応用できるようになります。

◎漢方薬に副作用はない?

漢方薬も薬である以上、副作用もあります。ただし「証」に合わせて正しく使われていれば、ほとんど副作用の心配はありません。
漢方薬による改善方法について、雑誌や新聞・テレビなどで色々と紹介されていますが、実際に服用する際には、必ずご相談の上、容易に服用することのないようにしてください。

◎漢方薬と西洋薬(新薬)の違い

西洋薬(新薬)は人工的に化学合成された物質がほとんどです。その多くは1つの成分から作られ、1つの疾患・症状に強く作用します。
一方、漢方薬は2種類以上の生薬で構成されていますので、数多くの成分を含んでいます。ですから効き目がおだやかで、様々な症状に効果を発揮します。

西洋薬:

◇1つの薬が1つの症状・病気に対し即効的に強く効く。
◇薬を飲んでいる限り症状や検査値を抑えられる。
◇効きめが強い分だけ副作用の心配もある。

漢方薬:

◇1つの処方がいくつもの症状や病気に穏やかに効く。
◇心身のバランスを調え、体の回復力(自然治癒力)を高める。
◇体質を強化し、体を本来の姿に戻していく。

西洋薬と漢方薬は、併用することによって、それぞれの短所や長所を補うこともできます。疾患によっては、より効果的な治療法として期待されています。